いつまでもアフタースクール

放課後が待ち遠しかった学校生活。ぼくにとっては今も放課後。だから楽しく生きていけます。主にオピニオン、10代20代への起業論を発信していきます。

【未来書評】家入一真さんの「さよならインターネット 」を読んで

連続起業家家入一真さんの最新著書が発表されました。その名もさよならインターネット。このタイトル、驚きませんか。ロリポップ!から始まり、CAMPFIRE、BASE、インターネッ党に至るまで、インターネットを使った事業や活動を続々と手がけてきた家入一真さん。そんな彼が「さよならインターネット」というタイトルを掲げたこの著書から、ただならぬ想いを感じたのはぼくだけでは無いと思います。

 

ぼくが家入さんを知ったのは高校生の時でした。当時好きだったバンドが解散し、解散ライブのDVD制作費や過去のレーベルを復活させる為の資金をCAMPFIREで募りました。

ただならぬ衝撃を受けたことを今でも鮮明に思い出せます。それまではSNSや、2chのまとめサイト、わからない事があったら検索をかける程度にしかインターネットを使ってこなかったぼくにとって「ネットを介してなにかを作り上げる」という能動的なアイディアは文字通りぼくの中のインターネットを変えました。

それでも、まだこの時は今ほどのネットの盛り上がりは無かったように思います。いや、もしかしたらぼくと周りの環境が関心が無かったからそう感じたのかもしれませんが、今とは認識が完全に違っていた様に思います。

CAMPFIREを通して高校生にしては大金の8,500円を支援したぼくは、この時始めてインターネットの海に飛び込んだような気がしました。インターネットというものを肌で感じ、ぼくが今まで届かなかった世界へ、大海原に浮かぶ数々の孤島への切符を手にしたのです。

しかし、ぼくが当時感じた感動は時が経つと共に少なくなり、次第に当たり前になってしまいました。少しもやっとした不思議な感覚。その答えがこの本にはありました。

ネットは「ツール」。「居場所」ではなかった

最近は様々なSNSやプラットフォームが出現し、毎日の様に新しいサービス、新しいアプリがリリースされています。5年前、ぼくがCAMPFIREに感動を覚えた時は、今ほど活発では無かったように思います。まだユーチューバーという言葉もそこまで流行っていなかった頃、ネットでの他者との関わりと言えばSNSくらいでした。よくて掲示板。しかしSNSはほとんどが実際に会ったことのある人の集まり。いつもの友達との会話がメールからTwitterに移り変わっただけでした。あくまで受動的な当たり前の変化だったと思います。

インターネットはあくまで通信手段のひとつ。そんなイメージがぼくにはありました。

この時、家入さんの言うインターネットの「輪郭」がぼくの中にはハッキリと存在していました。確かにGoogleやSNSの出現で便利になったとは言え、インターネットはあくまでも「ツール」としてのインターネットなのです。「居場所」ではなかった。そんな感じがします。

しかしその意識は次第に変わっていきました。

断続的なネットから連続的なネットへ

CAMPFIREで覚えた大きな感動を当時は上手く言葉に出来ませんでした。周りの友人に話してもなんだか上手く伝わらない。あれはなんだったのでしょうか。「さよならインターネット 」を読んでぼくはそれを振り返る事が出来ました。

CAMPFIREというプラットフォームはインターネットを単なる「ツール」からそれを使う彼らの「居場所」へと変化させました。この様なプラットフォームは今では誰もが使うレベルにまで増え、生活の中に溶け込んでいます。当たり前になっていて気づかないかもしれませんが、インターネットを通して彼らはそこに存在しているのです。インターネットによって繋がった人々と共に共存しているのです。通信手段としてインターネットを見ていたぼくはここに「リアル」を感じました。目の前になくても、確かに画面の奥で存在しているのです。これまで断続的だったインターネットは、こうしたプラットフォームの登場と共に徐々にぼくらの日常に溶け込んでいきました。今まで当たり前の様に存在していたかと思うくらいに。

家入さんが「さよならインターネット」で書いている通り、インターネットの「輪郭」は次第になくなって、そこには当たり前の様に誰かが存在する「居場所」が出来上がっていました。現実の延長線上にインターネットがありました。

しかしこの変化は一概にも素晴らしいとは言えないでしょう。インターネットの「リアル」は現実との乖離を無くし、まだ「輪郭」を帯びていた頃のやさしさを少しずつ奪っていきました。現実の世界から逃げ、インターネットにやさしさを求めていた人々は次第に「居場所」を失っていきました。誰もが気軽に自分を表現出来る場となったインターネットは、以前から「居場所」を求めていた人の拠り所を無くしていったのです。現実世界で卑下され、行き場をなくした彼らを救ったのはインターネットだったのに。

家入さんを引きこもりから時代の寵児に仕立てあげたのも間違いなくインターネットでしょう。もしインターネットが無かったら彼がこんな著書を書くことも無かったと思います。そんなやさしいインターネットは、リアルとの連続により次第に失われていきました。

「輪郭」を取り戻せ

今回の著書はインターネットに人生を助けられた彼だからこそ書くことの出来る説得力ある一冊でした。「さよならインターネット」きっとそんな風には考えたくないんだと思います。インターネットに助けられ、インターネットを育て上げ、多くの人の「居場所」を作った彼だからこそ、さよならだなんてしたくないはずです。それでも、日常に溶け込んでしまったインターネットに別れを告げ、もう一度新たな「輪郭」を創りだす。その決意が詰まった本でした。きれいな想いの詰まった、決意表明でした。

 

みなさんも是非「さよならインターネット」を読んで家入一真さんの想いを共有して頂きたいです。

さよならインターネット」は2016年8月8日に発売です。電子書籍がいい方はkindle版も出るそうなのでお楽しみに。

以上、「さよならインターネット」を読んだぼくなりの書評でした。(2016/7/19)